上町台地からまちを考える会、という組織があります。今日はその設立四周年記念フォーラムでした。應典院と創教出版、同じ屋根の下で働くスタッフの研修、という意味合いで、そのフォーラムに全員が参加しました。住職と主幹は各々が会の代表理事と事務局長を務めています。
全体は3部構成でした。第1部は五条学区、空堀、コリアタウン、上町台地全域、そして寺町で活動する理事らが「現場の進化」を語る場でした。第2部は今回の「メインディッシュ」とも言える、特定非営利活動法人プラスアーツの永田宏和さんの話題提供でした。第3部がその話を受け、特に研究者の立場から会に関わっている理事、そして事務局長が意見交換を行うというものでした。
我らがスタッフだけでなく、多くの方々の反応を見ても、永田さんの話が大変印象的だったようです。自分たちのまちに誇りを持つために投げ掛けた「プロのカメラマン」と「ロゴマーク」が「万葉の灯り」を盛り上げたこと、また震災10年という区切りにおいて「楽しい」防災訓練を行うための「おもちゃのかえっこ」を織りまぜるというもの、多様で多彩な視点から、現場の活動を一歩前に進める発想を明確に見せていただきました。一方で私も出演した第三部の話は、川中大輔さん(シチズンシップ共育企画)という、これまた素敵なファシリテーターを起用させていただいたにも関わらず、前半の時間が押したことも重なって、話が抽象論で終わった感があります。自分自身が内外で「主体と対象をつないでいく具体的な活動を展開することが大切」などと言っているだけに、自分がそれを示せていない気がして、深く反省しているところです。
ともあれ、日常、何気なく触れている物事、出来事に、アートの視点を持って接近すること、これが新たな概念を得るきっかけになることを改めて実感できた場でした。大阪大学コミュニケーションデザインセンターの渥美公秀先生と、その指導院生の小林仁くんは、先般の「日本グループ・ダイナミックス学会」にて、アートやデザインというのは、日頃の風景を「未知化」するための道具だ、という発表をされていました。いかに、何となく知った気になっていることを「未知」なるものにしていくか、それがアートやデザインには可能だ、ということです。これに加えて、永田さんは徹底して「アーツ」と複数形で呼ぶことにこだわっておられ、いくつかの切り口を携えて社会を見つめることの大切さを学ばせていただいた、そんな一日でした。(主幹)
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