一連のチベットの騒乱に対して、應典院も何かできないか、そんな思いから、急遽、寺子屋トーク第52回として「仏リンピック大阪大会」を開催いたしました。「仏リンピック」とは、東京の港区にある「青松寺」にて4月29日に開催されたイベント、臨時仏教ルネッサンス塾からお名前を借りた次第です。オリンピック憲章に書かれたことばは、そのまま仏教の精神に通底するものである。このように捉えて、「チベット発東京経由」ということばも重ねました。
メインのゲストは應典院では最早お馴染みの上田紀行先生です。ダライラマ14世との対談の様子を映像で上映しつつ、なぜ今、チベットは、また中国はこうなってしまったのかについて学びました。その後、チベット人の立場から東京のポタラカレッジ(チベット仏教普及協会)のクンチョック・シタルさん、そして熊本の蓮華院誕生寺の川原英照師を交えたパネルディスカッションを行いました。そして、「仏リンピック」ゆえに、大阪代表選手として、大阪市仏教青年会の木村慶司師と、昨年度「ダンマパダを読む」の講師でお世話になった釈徹宗師に「参戦」いただきました。ちなみに開催前には、漢民族を含め、今回の騒乱で犠牲となった人々への供養の法要を行い、終了後には平和の願いを込めて大蓮寺の鐘を撞くという誓いの場を設けました。
具体的な話の内容は、また別の機会に報告をさせていただきたいと思いますが、特に、「なぜチベット人が悲しんでいるかと言うと、未来の芽を紡がれているからです」という、クンチョック・シタルさんのことばには極めて納得できました。チベット仏教は、戒律を中心に自らを見つめる上座部仏教と、世の中を救う思想や実践としての大乗仏教と、意識から見た世界に関する密教と、順に学びを深め、積極的に他者に働きかけていくものです。そうして働きかけていくのは、社会のためであり、今後の未来のためのためであるにも関わらず、その行動が封じられてしまうことが、怒りとなっている、とのことでした。今が封じられているから、ではなく、未来が封じられている、なるほどな、と感じ入りながら、企画した側が深く学ばせていただいた次第です。
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